独立禅師の書
独立禅師は中国明代末の人です。明の滅亡を憂い、長崎にやってきました。もともと明朝に仕えるため頑張った人ですので、儒学、書画、篆刻には詳しく能書家として知られる人だったとあります。独立禅師は黄檗宗の開祖隠元隆琦禅師の弟子となり、書記として江戸へ随行し、隠元禅師と共に将軍徳川家綱に謁見しました。当時鎖国の江戸時代に明の文化の話は、衝撃的だったようです。独立禅師や黄檗宗の僧侶たちによって書かれる明の書は、たちまちに唐様の書のブームを起こしました。
独立禅師は医師として岩国の3代吉川広嘉に招かれ、計4回岩国に来ました。その際、沢山の詩を詠み、岩国にその書画を残していきました。その一つが展示中のこの写真の書です。
「靜」帰根曰靜 靜曰復帰 人間独立 と書かれ印が押されています。
独立禅師の書は篆隷、行草書など多才で流麗な筆跡を見ることができます。58歳で日本に来てからの約20年間に、書法のことについての本を書き残しています。
また篆刻については、初めて日本に伝えた人として「日本篆刻の祖」と言われます。その弟子には高玄岱らがおり、長崎で書と篆刻を倣った人も多いかと思います。岩国に来たときは、高村作兵衛に教え吉川広嘉の印を彫ったという記録が残っています。
ただ今の展示は 「錦帯橋ゆかりの独立性易禅師の書と篆刻展」となっていますので、これから少しずつ独立禅師のことをお知らせいたします。 続きはまた です 館長