上田流和風堂の茶会

3月29日から行われている「上田流和風堂特別公開の茶会」は今日4月4日が最終日です。昨日友人と一緒に出掛けてきました。
浅野氏広島城入城400年記念事業の1つとして行われたこの茶会は、桃山武将であり茶人でもある上田宗箇が広島に入国して400年でもあることから特別公開されています。

そして、豊臣秀吉との関わりで交流を深く持っていた初代岩国藩主吉川広家が、上田宗箇に「しだれ桜」を贈ったことの返礼として、岩国には「みみずくの手水鉢」が残っています。そのしだれ桜の子孫は今も引き継がれお庭に花を咲かせています。その二人の友情と交流を大切に思い、今回和風堂には、吉川史料館から沢山の茶道具(所蔵品)が貸し出されました。日ごろ吉川史料館の展示室でガラス越しにしか見られなかった黒田官兵衛からの「如水釜」や、秀吉から拝領した「肩衝の茶入」が和風堂の「御鎖の間」の本来置かれる位置に展示された姿を拝見しました。
美術館での展示にはかなわないことでもあります。今回の展示では、お道具の一つ一つが本来の姿を、より美しいものとなり輝いていることを改めて感じ、言葉にできない感動を覚えました。企画を準備された吉川家と上田家の皆様にお礼を申し上げたいと思いました。
歴史的美術工芸品を守ることには並々ならぬ苦労が伴います。ここ五橋文庫におきましても日ごろに感じていることですが、後世に長く残すことは大変なことです。ただ箱にしまいこんでいるだけで守れるものでもなく、何も施さなくても、ものには経年変化が伴います。現状維持をすることは思った以上に大変なことです。また、ものは使うことによって育つと言われます。理想は育てながら後世に残すという事もあるのではないかと思います。特に若い所蔵品については、使って育てることでより美術品としての価値が生まれると信じます。
今回、薄茶席でのお正客のお茶碗が吉川氏所蔵とお聞きしました。拝見させていただいて、お許し下さったことに感慨深く思いました。
今年は、広島から岩国にかけてこの「浅野氏広島城入城400年・上田宗箇広島城入城400年」の記念事業が続きます。機会があればぜひ皆様にも「吉川広家と上田宗箇」の世界を満喫していただきたいと思います。上田流和風堂の「岩国遠鐘クラブ」の事務局でもあります五橋文庫からもご案内させていただきます。家庭画報4月号にも、吉川家当主重幹様と上田流宗匠の記事が出ていますので、ぜひご覧ください。館長

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