献上酒になった酒井酒造の「五橋」
献上酒「五橋」
酒井酒造の「五橋」というお酒は、昭和22年の全国新酒鑑評会において1位になったことで一躍全国版の銘酒になりました。当時は硬水での酒造りが一般的でしたが、酒井酒造の井戸の水は錦川の伏流水であり、軟水です。その軟水での酒造で1位を取ったことが世間を驚かせたのです。3代当主酒井清と名杜氏の久次義夫、そして蔵人たちの地道な酒造りが世に認められたのです。そして、その年の12月、昭和天皇が山口縣を行幸された時に、「五橋」は献上酒となる名誉も頂きました。その後益々良い酒造りをし、山口県の酒の代表になっていったのです。その記録が今回の展示に加わっています。
明治4年(1871)創業の酒井酒造は、当時酒井酒場として酒造りを始めました。江戸時代の酒造株の制度を廃止した明治政府は、免許制の酒造制度を作りましたので、全国に沢山の酒蔵が出来ました。その一つの蔵として出発したのです。初代判次郎から2代徳次郎に引き継がれ、次第に酒造りで頭角を現していきました。そして3代目の清が大きな金字塔を打ち立てたのです。
古備前大徳利
室町から桃山時代の古備前から、江戸時代から現代にいたる備前焼の数々のやきものと、橋本関雪の桃源郷の世界、そして岩国の油政で関雪と3代清が会食したときに読んだ漢詩「天孫錦帯」の書を、2階の展示室でゆっくりお楽しみいただけたらと思います。
武陵春酣