祝・文化勲章受章の澄川喜一氏「そりのあるかたち」
岩国市にある岩国工業高校に学ぶ頃、青年澄川喜一氏は、岩国の錦帯橋を何度もスケッチしてその美しさが「そりとむくり」のそりにあること見ていたと言います。何度も錦帯橋をしたから見上げているうちに、小さな木の組み合わせと木材の特徴を生かした構造に気づいていったそうです。
東京スカイツリーのデザインを監修されていますが、そこには五重塔の心柱の微妙な揺れの構造が、地震にも倒れない構造を創り出すこととなり、正三角形の土台から丸い形に高くなっていくという造形に、ただただ驚きと憧れの思いを抱いたものでした。何年か前に上京して訪れたスカイツリーから東京タワーを見下ろす展望には、驚嘆の声をあげたました。すごい!
彫刻家として今もご活躍の澄川喜一先生が文化勲章受章されるニュースは、あっという間に岩国市内に広がり、拍手喝さいの渦となっています。岩国市内には先生の作品があちこちにありますので、見るたびに良い刺激を頂いています。
そりのあるかたち
五橋文庫も開館間もないころ澄川先生が来館下さった時、新米学芸員を励ましていただいて大きな力を頂いたことを、今もはっきり覚えています。
五橋文庫所蔵の「そりのあるかたち」は、そのシャープな線と素材の活かし方に魅了される作品です。観る者に感動を与える作品つくりには、余計なものをそぎ落とす感性が必要であることを思います。
これからもますますのご活躍を願い、心からお祝いを申し上げたく存じます。