大番頭が語る「山田錦の稲刈り」
稲刈りのシーズンになりました。やはり新米は美味しい!思わずもう一口食べたくなります。日本は瑞穂の国ともいわれ、この季節になるとお米が主食でよかったと思います。
お米にはご飯に適するお米と、お酒に適するお米があること、ご存知でしたか?
久しぶりになりますが、酒井酒造の大番頭さんにお酒に適するお米のお話をお聞きました。
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酒造好適米として知られる山田錦の話
日本酒の原料は言うまでもなく米です。どんな米であっても酒を造ることは可能ですが、食べておいしい米があるように、おいしいお酒になる米があります。その中でも特に酒造りに適した米を酒造好適米といいます。
実りの稲穂
酒造好適米と一般の米の大きな違いは、①大粒であること、②米の中心に心白と呼ばれる部分があること、③蛋白含有量が少ないこと、の三つが挙げられます。
山田錦
ここで心白とは、デンプン粒の粗い部分で麹カビが繁殖しやすく(麹造りに適す)、浸漬中に吸水が早いため、蒸すと米の外が硬く内側が柔らかい外硬内軟の米になりやすい。また、醪中で溶けやすくもなります。蛋白質は醪中でアミノ酸に変化しますが、これが多すぎるといわゆる雑味となるため、蛋白含有量が少ないことはきれいな酒造りにつながるのです。
食糧庁が酒造用玄米(酒造好適米)として認定しているのは、28府県で4品種にのぼります。有名な品種としては山田錦、雄町、五百万石などが挙げられますが、この中でも特に山田錦は酒米の最高品種とされています。このことは蔵元の多くが、大吟醸酒の原料米に山田錦を使用していることからもうかがい知ることができます。
山田錦は大正12年に兵庫県において「山田穂」を母に、「短稈渡船」を父に人工交配で作られた品種です。昭和11年に「山田錦」と命名されて以来、実に60年余もの間酒米の王様として君臨し続けているのです。
山田錦と並んで人気の高いのが雄町です。好適米の多くが品種改良によって作られたものに対して、雄町は在来種。生まれながらにして酒米としての資質を持っていたというのはすごいことです。一般に酒造好適米は背丈が高く、倒伏しやすいものが多いため、栽培が難しいとされます。また、収量が少なく一般米と比べて価格が高いなど、安定した品質の酒造好適米を求める蔵元にとっては、決して条件が良いとは言えません。
しかしそれでも蔵元は良い酒造りのために良い酒米(酒造好適米)を求めます。良い米が良い酒になるのです。米にこだわるということは、酒質にこだわるということ。酒造好適米で醸された酒はこだわりの酒だといえるのかもしれません。
この山田錦で新酒の仕込みを始めます、お楽しみに。
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酒井酒造㈱ 「五橋醸造元」
いかがでしたか、お分かりいただけたでしょうか。
ご飯にして良し、お酒にして良しのお米の話でした
それぞれに適した種類のものを使うことは大事な事です。適材適所という言葉が当たっているかどうかわかりませんが、材料の持つ良さを引き出すことができるのがプロの仕事でしょうか・・次の新酒が楽しみです
酒井酒造美術館の五橋文庫は、来年が酒井酒造創業150年となることを記念して、一年間の展示計画に「お酒の文化」を辿りたいと思います。