いよいよ始まる「明代の篆刻・独立性易禅師」

明代の篆刻

印の歴史は紀元前のメソポタミアに始まりますが、篆刻の歴史は明代14世紀からと言われます。身分と名前を明確にする証となる印の文化が中国では秦の始皇帝によって作られました。その文化は漢代に定着し、隋・唐・宋・元に引き継がれます。ただし、民族の違いもあり文字が明確なモノばかりではありません。また、今のように彫りやすい石材が発見されたのが元末で、鋳造印が主体の時代にシャープな線の印を求めるには、技術的にも無理がありました。王冕(おうべん)が青田で花乳石という彫りやすい石を発見したことが、やがて篆刻という世界への扉をあけることになりました。

詩書画に巧みな能力を持つ文人たちが、石を彫るということに興味を持ち始めた明末に現れたのが、文三橋(文彭)です。明代の文人として著名な文徴明の子・文三橋は篆刻に優れた作品を残しました。その後を引き継いだのが弟子の何雪漁(何震)です。何雪漁は清代の篆刻へと流れを作り「徽派」の門人たちを育てていったのです。

何雪漁印「雪漁詩画」

今回注目する独立性易禅師は1653年に日本に渡来した明人の戴笠ですが、中国にいるとき「明代篆刻の祖」と言われる文三橋の流れに篆刻を学んでいました。

その独立禅師(戴笠)が彫った印2顆が東京国立博物館に所蔵されていることがわかり、データをお借りできました。その印のデータの中から印面と印影に注目し、明代の篆刻をご紹介いたします。

また、その2顆の印がどのような経緯を経て東京国立博物館に所蔵されることになったのか書き留めてある「獨立禅師石印」の書物の解説には、岩国を医師として訪れた独立禅師にゆかりの深い人物たちが関わっていることが書かれていました。岩国にとっても驚きの事実であることに興味深く思います。

9月5日から12月20日までの展示となりますので、沢山のご観覧をお待ちしています。

なお期間中、10月21日~25日まで岩国市民文化会館にて「楽しむ篆刻」と題して篆刻愛好グループ「岩国篆刻会記念作品展」(入場無料)を開催します。体験コーナー(有料、予約制 申込 ℡0827-24-8996)も準備いたしますので、作品展示と共にお楽しみください。

楽しむ篆刻

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