篆刻印とハンコ

第10回展チラシ表

印の文化はメソポタミアに始まり、ヨーロッパにも伝わりましたが、中央アジアを通って中国には殷代(いんだい)に伝わりました。その後、民族を統一した秦の始皇帝は、李斯(りし)に命じて文字の統一をしました。それが篆書体(てんしょたい)という形の漢字です。その篆書体で皇帝印や爵位(しゃくい)の印を作り身分の証明としたことから、いわゆるハンコの文化が始まります。この時代にはまだ彫りやすい石は見つかっておらず、鋳造印(ちゅうぞういん)として銅印が盛んに作られていました。五橋文庫には漢代の爵位を彫った銅印があり、ハンコの世界を観る展示をしています。

元(げん)の終わりのころ、中国浙江省青田県(せっこうしょうせいでんけん)で王冕(おうべん)が彫りやすい石を見つけ、石に篆書体を彫ったのです。それまで作られてきた身分の証明となるものだけでなく、熟語や詩の一節を篆書体で印にする文化としての篆刻が始まりました。明代から清代には、杭州(こうしゅう)の西湖(せいこ)近くに多くの文人(ぶんじん)が集い、詩書画、そして篆刻を学びました。印首印(冠帽印)などもデザイン性が加わり、芸術性の高いものとなって現在に至ります。

「詩酒生涯」 小林東五刻

「篆刻印とハンコ」の展示は8月27日火曜日までです。

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