岩国を発信する美術館
五橋文庫は、書画・陶磁器・書籍・文房四宝などの展示をする美術館です。古いものは縄文から桃山に始まります。海の向こうの大陸は中国漢代から、朝鮮半島ではの新羅、李朝などにさかのぼります。文人好みのコレクションを中心にしての展示をしています。
その五橋文庫は、錦帯橋から歩いて3分、小さな蔵つくりの美術館です。錦帯橋をこよなく愛する五橋文庫は、少しでも岩国にかかわる展示をしたいと思っています。
7月6日から始まる展示、「岩国藩の御用窯~多田焼~」はその第一回展です。
江戸時代の元禄のころ、当時の吉川氏が将軍徳川への献上品として作り始めた多田焼は、京都から招いた陶工、丹波屋安兵衛の教えを得て始まりました。お城から近い場所にある多田村は、良質の粘土と窯を焚く燃料の松が豊富にありました。師匠のもと、3人の足軽は懸命に学び、献上品の茶道具を造りました。献上品であったから、市中にはほとんど残っていません。しかし、数は少ないけれど岩国市内で大切に残されてきたものを、五橋文庫がお借りして展示いたします。めったに見れない「多田焼」です。
また、この「多田焼」を昭和に復興させたいと頑張っている陶芸家がいます。本来の多田焼が元禄時代に茶道具を造り、将軍に献上してきたことを大切に守り、現代の茶道に合わせて作陶する「復興多田焼」は、青磁色の茶人好みの一品です。現在2代目に引き継がれた作品とともにご紹介をしたく、その作品の展示も同時開催いたします。
お殿様の命を受け、足軽たちが必死に作ったという「多田焼」と、それを引き継ごうと頑張る現代の陶芸家の「多田焼」を、この機会に是非見ていただきたいと思います 館長