2018年7月16日 印を見るとわかること

この印は「扇面に岩國多田」と書かれているものです。

岩国藩御用窯の多田焼は、元禄時代(1700年)に始まり100年余り続きました。途絶えた窯を再興させようと万延元年(1860年)に大西利左衛門はじめ、そのあとを市木精斎が続けました。このころにできた多田焼には写真の印が押されています。もともと献上品の多田焼には印はありませんが、この印が押されていると、献上品の多田焼ではない「もう一つの多田焼」という証明になります。

陶磁器でも作者が誰かを示すためにこのような印が残されますが、書画・工芸品においても同じです。手書きのサインや印で作者の署名が残されることは、作品の作者がわかるのははもちろんですが、できた時代も分かるのです。多くの著名な作家は年齢によって雅号や呼び名を変えたり、印も作品に合わせて作り足したりしていますので、押された印影を調べていくことで得られる情報があるのです。

この印を作る世界が篆刻の文化です。篆刻体験で作った印にも、作ったときの年齢や情報が残されていきます。篆刻をされた方は、側款を入れるなどの方法で、いつ作ったかなどの情報がわかるようにされるとよいかと思います。

今回の展示では、印や署名も分かるように説明がありますよ。  館長

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