多田焼の貫入

中国地方に異常ともいえる大雨が降り、岩国も大きな被害がありました。広島、岡山、愛媛などまだまだ日常の平穏な状態が取り戻せていないこと、五橋文庫からもお見舞い申し上げます。行方不明の方が早く見つかること願ってやみません。

さて、6日から始まりました「 岩国藩の御用窯 多田焼展 」ですが、一昨日吉川家のご当主が五橋文庫にお越しくださいました。岩国に残っている多田焼はごく一部のものですが、1700年に窯を築いて100年余りの流れとその残された逸品に、目を見張られていたように思いました。この花生にも興味深く目を止めておられました。表面にあるヒビを貫入と呼びますが、この貫入が入るのは、土台になる粘土と表面にかかっている釉薬(うわぐすり)が高温で焼かれて溶けたあと、冷めていく過程でできる現象で、粘土と釉薬の収縮率の違いによっておこるものなのです。そのヒビの入り具合がきれいに出て表面に模様のようになることは、その風合いを高く評価されます。粘土、釉薬、そして焼き方の技術が生み出すやきものの面白さの一つです。江戸時代に岩国の足軽たちがよくぞここまで作った!と感心してしまいます。

多田焼は、京都の陶工を招いて作り方を習いましたから、朝鮮をルーツにする萩焼とは違うのですが、この写真の花生には萩焼を思わせる肌が観られます。岩国と萩の毛利宗家との関係が悪くなったことから始まった多田焼ですが、どこかこの多田焼には、萩の毛利に倣う岩国があったのかもしれません。

今日のような暑い日には、この趣のある花生にはどんなお花を活けてみましょうか、皆様は何がよろしいでしょうか?                          館長

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