娘がよみがえらせた狩野永琳の世界

狩野永琳の世界

狩野永琳は、京狩野派の狩野永輝について学びました。

狩野永輝は、京狩野派10代狩野永祥の門人・狩野永信に師事しました。

どんな世界でも学びには沢山の門人がいます。その門人たちは師匠の技術と感性を引継ぎながら自分の作品を残していきます。師匠が伝承を託せると認めた弟子には、自分の後継ぎとしてバトンを渡していきます。

京狩野派の歴史には、10代狩野永祥の後、直系の11代永譲、12代永証の名前が刻まれています。

しかし、多くの門人がそうであるように、永信は直系ではないけれど10代永祥の後を継ぎ、11世と名乗り、弟子の永輝に12世を引き継がせました。そして、永琳は、師匠・永輝から画風を引継ぎ、13世を託されました。一枚の襲名披露の写真が残されています。

直系とそうでないものとの確固たる違いはあるでしょうが、京狩野派の画風は粛々と伝承されていたことを、五橋文庫の展示で観ていただけたらと思います。

永琳絵付けの多田焼

2018年夏に五橋文庫で企画した「岩国藩の御用窯・多田焼」の展示の際、復興多田焼初代田村雲渓作のこの壺を展示しました。この壺に絵付けをしたのが狩野永琳であることを、五橋文庫のブログに書きました。

そして、そのブログを目にされたことが思いがけない出会いとなりました。

昨年春に五橋文庫を訪ねて来られた姉妹は、絵師としての父が岩国で「永琳会」という会で活躍していたことを知り、驚きとともに喜び、尊敬する父への記憶をたどり、「京狩野派・狩野永琳」をよみがえらせました。

父から絵筆を学んだ末娘は、一年かけて資料を作り、父の描いた絵を集めて今回の企画展示を実現させたのです。父への深い想いが叶うこの春の展示です。

3月20日(金)から6月23日(火)までの開催です。なお、4月29日~5月7日までのゴールデンウイークはお休みせずに開館の予定です。

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