文化をつなぐ「不器の会」は大真面目の会

五橋文庫

一般財団法人五橋文庫は、主として文房四宝と書画、陶磁器などの美術品を展示する美術館です。決して沢山の所蔵品があるわけではありませんが、人がほっとする時を過ごせる空間を作れたらと考えています。

慌ただしく過ぎる日々に、ゆとりを感じることもなく、鏡に映るストレスが溜まった顔。ハッ?としますね。

熱いお茶を入れ、少し甘いお菓子を摘まむ。

このお茶にも、お菓子にも長い歴史と文化があります。

日本人の心を繋いできた文化です。

日常のすべてのものにある歴史と文化を、支えていくグループが「不器の会」です。

不器の会の不器とは、論語に「君子不器」(君子器ならず)という言葉がありますが、「未だ器にあらず」まだまだ未熟であると自分を戒め、おごることなく学ぶ気持ちを持って、和の文化を中心に、正月には初釜をかけて年の初めをスタートします。各界で活躍する人たちの異文化交流も含め、それぞれが持つ知識や文化を交流させることが、文化を繋ぐと考える会です。

この不器の会では、実は皆さん全員が「大真面目」に文化を語り合います。まるで若き10代の時のように。

久しぶりに出かけた一昨日の会で隣に座られた名医が、愛用の杯・13代坂高麗左衛門の馬上杯を手に話してくださいましたのは、この13代が急逝され窯が絶えてしまうかと心配していたが、14代を目指して修行する人物がでてきたことを喜び、応援しようと思っているということでした。早く作品が出来てくるのも待っていて、手にしたいのだと言われます。

萩焼のルーツをたどると坂家に行きつきますが、その芸術の歴史と文化を繋ぐことは、作り手と作品を日常に使い楽しむ人がいて成り立ちます。この名医のような人が文化を支え、繋ぐこととなるのではないでしょうか。

篆刻体験

また、この日、岩国ロータリークラブの卓話をした、ザック・ローレンツェンが、岩国の篆刻を学び、日本文化をよく理解していると褒めてくださる実業家は、光る原石を宝石に磨き上げることを提案されました。篆刻も元々は中国の文化でしたが、今では日本の文化芸術としてレベルの高いものになっています。特に岩国には「日本篆刻の祖」と言われる独立禅師の足跡もあります。この足跡を伝えることも岩国の歴史と文化を繋ぐことにもなります。五橋文庫はそれを行っています。

今回の「不器の会」も話題の尽きない楽しい会でした。

日頃忙しく生きているからこそ、たまには大真面目に歴史と文化を語りあい、今ある平穏な日常がいかにして築かれてきたかを思うことが、新たな気付きを生みだしてくれるのだと、ツクヅク思うことでした。

「文化を繋ぐ」、大きなテーマですが日々の積み重ねです。

さて、熱いお茶を入れなおして、今日も仕事を始めます

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